yAtlas

最初のコマを描いています…

0:00 / 6:24Prologue

ひそむ秩序 · No.07 · リアルタイム描画の短編 · 6:24

Curvature

微分幾何学をめぐる短編

五つの短い章で微分幾何学をたどる。曲線が一点でどれだけ鋭く曲がっているかは一つの数で表せ、曲面の曲がり方もまた数で表せる。球のようなら正、鞍のようなら負である。曲率は場所ごとに違う。けれど足し合わせると、そこには秩序がある。閉曲線をひと回りすれば、接線はいつも整数回まわる。球をどう押しつぶしても、全曲率は 4π のまま。ドーナツなら合計は 0。この秩序は形を問わず、何回まわるか、穴がいくつあるかだけを数える。そのあいだに、二つの曲がりが各点で打ち消し合う石けん膜と、球面の一点を出て反対側でふたたび出会うまっすぐな道が現れる。映像はすべて、コードが一コマずつ計算したもの。ウェブサイトでは、ブラウザの中でリアルタイムに描かれる。

上映時間
6:24
構成
五つの章と、プロローグ、エピローグ
解像度
再生エリアに合わせて自動調整(最大 440 万画素)
フレームレート
最大でディスプレイのリフレッシュレート(実際は端末の性能による)
事前に録画したコマ
なし
言語
中文 · English

自分で試す

下に挙げた場面は、映画の絵をそのまま Studio で開き、自分の手で動かせる。

  1. 金色の点を楕円に沿ってひと回りドラッグし、円が大きくなったり小さくなったりするのを見るI · How much a curve bends
  2. ほかの曲線に替えて、頂点を数えるI · How much a curve bends
  3. θ を 0 に戻してから 1.571 までドラッグし、自分の手で懸垂面を常螺旋面に曲げるIII · Soap films
  4. 三つの頂点を自分でドラッグして、角の和の超過分を見るV · Total curvature
  5. ベクトルを三角形に沿って一周させ、どれだけ回るかを見るV · Total curvature
  6. こぶを自分で高くしたり低くしたりして、全曲率を見るV · Total curvature

章

Studio

この巻の画面を、自分の手で。パラメータを変えて、画面がどう変わるかを見る。

どこで出会うか

この巻の数学は、こんなところにも現れる。各カードから、関連する Studio をひらける。

ナレーション原稿 · 79
  1. Prologue

  2. IHow much a curve bends

  3. IIGaussian curvature

  4. IIISoap films

  5. IVGeodesics

  6. VTotal curvature

  7. Coda

図版の解説 · 5

I 接触円

曲線に沿って歩くと、向いている方向が回っていく。曲率とはその回り方の速さ κ=dθ/ds、つまり単位長さあたりに回る角度(ラジアン)で、左に曲がるときを正、右に曲がるときを負とする。各点で曲線にいちばんぴったり沿う円を接触円といい、その半径は 1/|κ|、中心は法線の上にある。変曲点では接触円は開ききって直線になる。この図版では、接触円が楕円をひと回りし、その中心が縮閉線を描く。続いて曲率を櫛として描き、すべての法線を一度に描いて縮閉線に寄り集まるさまを見せ、最後に三つの閉曲線に沿って接線を一周ずつたどる。隅では回った角度をラジアンで測る。

接触円
κ=dθ/ds,R=1/κ点が楕円の上をひと回りする。楕円の二つの軸の比は 1.6:1 である。金色の円が接触円で、半径は 1/κ。長軸の両端で最も小さく(そこでは κ=1.6)、短軸の両端で最も大きい(そこでは κ=1/1.62≈0.39)。その中心(青)が縮閉線を描く。四つの尖点をもつ星形である。
曲率の櫛
κ=(x′y′′−y′x′′)/(x′2+y′2)3/2櫛の歯の一本一本は法線で、長さはそれが立つ点の曲率に比例する。楕円はピーナッツ形に変わり、もう凸ではない。くびれのところでは曲線が逆向きに曲がって曲率が負になり、櫛は内側へ裏返る。曲率の符号が変わる四つの点が変曲点である。そのあとピーナッツ形はふくらんで卵形になる。
四つの頂点
vertices≥4法線をすべて描くと、それらは自らの包絡線である縮閉線に寄り集まる。縮閉線の尖点は頂点、つまり曲率が両側のどちらよりも大きい、または小さい点に向かい合っている。卵形には四つ、角の丸い三角形には六つ、角の丸い正方形には八つある。四頂点定理によれば、自己交差しない閉曲線で頂点が四つより少ないものはない。ムコパディヤーヤが 1909 年に凸閉曲線について証明し、クネーザーが 1912 年に自己交差しないすべての閉曲線に広げた。
接線の回転
∫κds=2πn閉曲線に沿って接線をひと回りたどり、その回転を足し合わせる。楕円では 2π でちょうど一回転、右に曲がってから左に曲がる 8 の字では 0、内側に小さなループをもつリマソンでは 4π になる。右の文字盤は、その合計を一周ずつほどいて示す。曲線をなめらかに保ち、いたるところで接線が定まるような変形では、この数はけっして変えられない。だから三つの曲線は、互いに曲げて移り変わるのではなく、入れ替わって現れる。ホイットニー・グラウスタインの定理(1937 年)である。

II ガウス曲率

法線を含む平面で曲面を切ると、切り口は一本の曲線になり、それ自身の曲率をもつ。平面を回すと、この曲率は二つの極値、すなわち主曲率 κ1 と κ2 のあいだを、オイラーの公式に従って行き来する。その積 K=κ1κ2 がガウス曲率で、曲面が球のように曲がっているところでは正、鞍のように曲がっているところでは負になる。ガウスは 1827 年に、K は曲面から出ることなく、曲面上の長さだけから求められることを示した。だから伸び縮みさせずに曲げるだけでは、K は変えられない。隅では各曲率と立体角を読み取る。

二つの曲率
κ(φ)=κ1cos2φ+κ2sin2φトーラスの外側で、法線を含む平面がひと回りする。金色の弧は切り口の接触円で、その半径は外周の半径と管の半径のあいだを行き来する。二つの主方向の切り口は、どちらも同じ側へ曲がっている。輪の内側では二つの切り口が互いに逆向きに曲がり、半回転するごとに二度、金色の弧がまっすぐに伸びきる。そのとき切り口は、その点ではまったく曲がっていない。
トーラス
K=κ1κ2K で色を塗っている。外側は暖色で、そこではトーラスは球のような形をしている。内側は寒色で、鞍のような形をしている。上と下をめぐる二つの円の上では 0 になる。そこでは曲面は円に沿う方向に曲がっていない。プローブは外側の赤道から上を越えて、内側の赤道まで歩く。
ガウス写像
K=limΩ/A各点をその単位法線ベクトルへ送ると、トーラス上の小さなループは、方向を表す球面上のループになる。像が囲む立体角を、回る向きで正負をつけて数え、ループがトーラス上で囲む面積で割る。ループを縮めていくと、この比は K に近づく。外側では、像はループと同じ向きに回る。上のあたりでは像が折り返して自分自身に重なり、正負が打ち消し合う。穴の中では像は逆向きに回り、比は負になる。
驚異の定理
K=0→K=1平らな紙は K=0 で、何も伸び縮みさせずに円柱に丸められる。だから円柱も K=0 である。同じ紙を K=1 の球面に押し当てると、長さを変えずにはすまない。これがガウスの驚異の定理であり、どこでも縮尺の正しい地球の平面地図が作れない理由でもある。ここで示した押し当て方では、紙の縁の長さは半分以上縮む。

III 測地線

曲面の上を、左にも右にも曲がらずにひたすら前へ歩くと、その道筋が測地線になる。測地線の加速度は曲面に垂直で、法線に沿って向いている。測地線は局所的に最短の道である。球面では大円になり、回転面ではクレローの関係式に従う。三つの軸がすべて異なる楕円面では、一点を出た測地線が、ヤコビの記述した包絡線に折り重なる。その尖点が四つであることが証明されたのは、2004 年になってからである。隅では弧長と角度をラジアンで測る。

最もまっすぐな道
γ(s)=cossP0+sinse単位球面の一点から、三十六本の大円があらゆる方向へ出ていく。それらは sins に従って広がり、四分の一周のところで最も離れ、ちょうど π の弧長を進むと、反対側の一点ですべてふたたび出会う。球面では、どの方向へ進んでも対蹠点に行き着き、そこを越えると、大円に沿った道はもう最短ではない。
最短の航路
cosd=sin2φ+cos2φcosΔλ北緯 45° にある二つの都市が、経度で 150° 離れている。緯線に沿って進むと弧長は 1.851、極の側へ弓なりにふくらむ大円に沿えば 1.504 で、二割近く短い。ヨーロッパと北アメリカ西部を結ぶ便がしばしばグリーンランドの上空を通るのは、このためである。
クレローの関係式
ρcosψ=c回転面の上の測地線は ρcosψ を一定に保つ。ρ は軸からの距離、ψ は緯線とのなす角である。外側の赤道から三つの角度で送り出すと、一本は ρ=c となる二つの円のあいだにとどまって外側から出ない。一本は上を越えるが、穴を通り抜けられない。残る一本は c が穴の半径より小さく、何度も穴をくぐり抜ける。
ヤコビの楕円面
x2/a2+y2/b2+z2/c2=1三つの軸がすべて異なる楕円面の上で、一点から 360 本の測地線が出ていく。反対側に回ると測地線どうしが交わりはじめ、明るい包絡線に寄り集まる。これが共役点の軌跡で、四つの尖点をもつ曲がったアステロイドの形をしている。ヤコビは 1840 年代にこれを記述し、臍点でないどの点から出発しても尖点はちょうど四つだと主張した。この主張は 2004 年に伊藤仁一と清原一吉が証明した。

IV ガウス・ボネ

曲がった面の上では、辺が測地線である三角形の角の和は、一般には π にならない。ガウスは 1827 年に、その差が三角形の囲む曲率に等しいことを証明した。α+β+γ−π=∫∫KdA である。ボネは 1848 年に、これを任意の曲線で囲まれた領域に拡張した。閉曲面全体では、この定理は数え上げになる。全曲率は 2πχ で、オイラー標数 χ は球面なら 2、トーラスなら 0 である。曲率は面の上を移ることはできても、その合計を増やしたり減らしたりはできない。隅では角と曲率をラジアンで足し合わせる。

角過剰
α+β+γ−π=∫∫KdA単位球面上の三角形は、辺がどれも大円の弧で、ほとんど平らな小さい三角形から、球面のおよそ六分の一を占めるまで開いていく。角の和は、平面の三角形とほとんど変わらない、π をわずかに超える値から 5.3146 まで増え、π を超えた分は、頂点の位置から別に計算した面積と小数第四位まで一致する。K=1 の球面では、囲まれた曲率は面積そのものである。
平行移動
Δθ=∫∫KdAベクトルを、一度も回さずに三角形に沿って運ぶ。球面の許すかぎり自分自身と平行に保ち、大円である各辺に沿っては、辺とのなす角を一定に保つ。戻ってきたときには 2.1730 ラジアン、つまり三角形の面積に等しい角度だけ回っている。パリの緯度 48.85° の緯線に沿って一周させると、戻ってきたときには 1.5523 ラジアン回っている。これはその緯線より北の球冠の面積で、逆向きに 2πsinφ ラジアン回ったのと同じである。この 2πsinφ が、フーコーの振り子の振動面が一恒星日のあいだに回る角度である。
全曲率
∫∫KdA=4π球面から四つのこぶが盛り上がり、二つのくぼみが沈み込む。こぶの頂では K が 6 近くまで上がり、こぶのすそのまわりでは曲面が鞍の形になって K<0 となる。色は K に従う。こぶがどれほど高くなっても、頂で増えた曲率はすそで失われる。隅では毎コマ、曲面上の 3456 点について、それぞれが受けもつ面積で重みをつけて曲率を足し合わせており、その合計はいつも 4π のままである。
ハンドルひとつ
∫∫KdA=2πχトーラスにはハンドルが一つあり、χ=0 である。外側の赤道から上下に広がる帯は正の曲率 4πsinv を集め、外側の半分を覆いきるころには球面まるごと一つ分に達する。そのまま上を越えて穴の中まで広げると、同じだけの負の曲率を集め、帯がトーラス全体を覆うと、合計は 0 になる。ハンドルが g 個ある閉曲面は、形がどうであれ χ=2−2g で、全曲率は 4π(1−g) である。

V 極小曲面

曲面のどの小片も、縁を止めたまま少し形を変えて面積を減らすことができないとき、その曲面を極小曲面という。ムーニエは 1776 年に、これが平均曲率 0、つまり H=(κ1+κ2)/2=0 と同じであることを示した。各点で、一方へ曲がる分だけもう一方へも曲がっているということである。石けん膜は極小曲面であり、だからこそプラトーは何年も針金の枠を石けん水に浸しつづけた。自己交差しないどんな閉じた針金にも極小曲面が張れることは、1930 年ごろラドーとダグラスがそれぞれ証明した。この図版では、二つの輪のあいだの膜を切れるまで引き伸ばし、懸垂面の主曲率を測り、懸垂面を曲げて常螺旋面にし、小さな円板からエネパー曲面を育てる。隅では面積と曲率を測る。

石けん膜
r=acosh(x/a)半径 1 の二つの輪を引き離していくと、そのあいだの膜、すなわち懸垂面はくびれが細くなっていく。間隔が 1.0554 を超えると、膜の面積は、つぶれてできる二枚の円板の面積の合計より大きくなる。それでも、少し形を変えただけでは面積が減らないので、膜はそのまま保たれる。1.3255 に達すると、輪のあいだに張れる懸垂面はもうなくなり、膜ははじけて平らな二枚の円板になる。ゴールドシュミットが 1831 年に記述した解である。
平均曲率ゼロ
κ1+κ2=0懸垂面では、子午線である懸垂線は軸から離れる向きに曲がり、緯線の方向の法断面は、ちょうど同じだけ軸の側へ曲がる。金色と青の円はこの二つの主方向の切り口の接触円で、どちらも半径は cosh2v、互いに反対側にある。くびれから離れると、緯線の方向の切り口はもう緯線の円そのものではない。プローブが子午線に沿って歩くあいだ、隅の平均曲率は 0 のままで、ガウス曲率 K=−1/cosh4v はどこでも負である。
懸垂面から常螺旋面へ
Xθ=cosθC+sinθH一本の子午線(金色の縁)に沿って切り開くと、懸垂面は伸び縮みせずに常螺旋面へと曲がり、また戻る。この族のどの曲面 Xθ も極小曲面で、対応する点どうしでは、長さ ds2=cosh2v(du2+dv2) も単位法線ベクトルも同じである。くびれをめぐる円はまっすぐに伸びて常螺旋面の軸になる。隅では、長さと平均曲率が懸垂面のものからどれだけずれるかを測る。小数第四位まで、どこにもずれはない。
エネパー曲面
∫∫KdA=−4πr2/(1+r2)1864 年、エネパーは多項式で与えられる極小曲面を見つけた。小さな円板から育てると、縁が二度上がって二度下がる鞍の形になり、円板の半径が r=√3 を超えると、曲面は自分自身を突き抜ける。その全曲率 −4πr2/(1+r2) は −4π に近づく。懸垂面の全曲率も −4π である。オッサーマンは 1964 年に、全曲率が −4π の完備極小曲面はこの二つしかないことを示した。