I 接触円
曲線に沿って歩くと、向いている方向が回っていく。曲率とはその回り方の速さ κ=dθ/ds、つまり単位長さあたりに回る角度(ラジアン)で、左に曲がるときを正、右に曲がるときを負とする。各点で曲線にいちばんぴったり沿う円を接触円といい、その半径は 1/|κ|、中心は法線の上にある。変曲点では接触円は開ききって直線になる。この図版では、接触円が楕円をひと回りし、その中心が縮閉線を描く。続いて曲率を櫛として描き、すべての法線を一度に描いて縮閉線に寄り集まるさまを見せ、最後に三つの閉曲線に沿って接線を一周ずつたどる。隅では回った角度をラジアンで測る。
- 接触円
- κ=dθ/ds,R=1/κ点が楕円の上をひと回りする。楕円の二つの軸の比は 1.6:1 である。金色の円が接触円で、半径は 1/κ。長軸の両端で最も小さく(そこでは κ=1.6)、短軸の両端で最も大きい(そこでは κ=1/1.62≈0.39)。その中心(青)が縮閉線を描く。四つの尖点をもつ星形である。
- 曲率の櫛
- κ=(x′y′′−y′x′′)/(x′2+y′2)3/2櫛の歯の一本一本は法線で、長さはそれが立つ点の曲率に比例する。楕円はピーナッツ形に変わり、もう凸ではない。くびれのところでは曲線が逆向きに曲がって曲率が負になり、櫛は内側へ裏返る。曲率の符号が変わる四つの点が変曲点である。そのあとピーナッツ形はふくらんで卵形になる。
- 四つの頂点
- vertices≥4法線をすべて描くと、それらは自らの包絡線である縮閉線に寄り集まる。縮閉線の尖点は頂点、つまり曲率が両側のどちらよりも大きい、または小さい点に向かい合っている。卵形には四つ、角の丸い三角形には六つ、角の丸い正方形には八つある。四頂点定理によれば、自己交差しない閉曲線で頂点が四つより少ないものはない。ムコパディヤーヤが 1909 年に凸閉曲線について証明し、クネーザーが 1912 年に自己交差しないすべての閉曲線に広げた。
- 接線の回転
- ∫κds=2πn閉曲線に沿って接線をひと回りたどり、その回転を足し合わせる。楕円では 2π でちょうど一回転、右に曲がってから左に曲がる 8 の字では 0、内側に小さなループをもつリマソンでは 4π になる。右の文字盤は、その合計を一周ずつほどいて示す。曲線をなめらかに保ち、いたるところで接線が定まるような変形では、この数はけっして変えられない。だから三つの曲線は、互いに曲げて移り変わるのではなく、入れ替わって現れる。ホイットニー・グラウスタインの定理(1937 年)である。







